和歌山県橋本市 病気や予防、トリミングサロンの専門病院

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クーちゃん2012.03.14

 12歳の男の子のチワワのクーちゃんです。
3年前から心臓に雑音があり僧帽弁閉鎖不全症と診断されていました。

飼い主さんには3年前から来院の度に病気のお話はさせていただいていたのですが、
クーちゃんに激しい咳などの症状が見られなかったので
飼い主さんはクーちゃんの治療をしていませんでした。

でも11日から呼吸困難になり、咳が出たり血の混ざった痰をはいたりして、
横になって寝ることも出来なくなり12日に来院しました。

僧帽弁閉鎖不全症による肺水腫です。
直ちに酸素吸入と肺にたまった水を抜く利尿薬、強心剤の処置を行いました。

飼い主さんにはとても今、危険な状態で亡くなってしまう事もあると説明をしました。
肺水腫がおさまるまで数時間毎に注射を行い、
13日にはかなり状態が安定し、横になって寝ることも食餌を取ることも出来るようになり
今日無事に退院しました。
P1160698.JPG

無事に退院することができて本当によかったです。

僧帽弁閉鎖不全症とは・・・
左心房と左心室の間にある僧帽弁という膜が加齢などにより変性し、
弁がキチンと閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。

この病気は中~高齢の小・中型犬に多く、キャバリア・ダックスフント・プードル・チワワなどに多く発生が見られる病気です。

血液の逆流の少ない初期の段階では症状はほとんどありませんが、
心臓の聴診により心雑音が聞かれます。

逆流が多くなり病気が進行すると、元気がなく・疲れやすくなり寝ている時間が多くなります。
また一番飼い主さんが気付く症状は咳で、夜間や興奮・飲水時によく見られむせたり吐くような咳をします。

くーちゃんの様に重症になると肺に水がたまる様になり呼吸が荒くなり倒れたりします。

この病気の治療は僧帽弁を取り替えてしまうことが理想ですが、手術は限られた施設でしか行うことが出来ずまだ実用的な治療とはいえません。

そのため通常は薬物を用いて内科的に治療を行ないます。
強心剤や利尿薬や血管拡張薬や抗不整脈薬などを組み合わせて症状を抑えていきます。
ただこの治療は傷んでしまった僧帽弁を修復する薬ではなく
心臓の負担を軽減する薬なので一生投薬が必要です。

僧帽弁閉鎖不全症と診断されてもまだ軽症から治療を始めた場合は平均寿命を越えて質の高い生活を送ることが出来ます。
ただ明らかな心不全症状が伴う場合は平均生存期間が8~10ヶ月との報告もあります。

この病気は加齢性の病気ですので中年期になったら1年1回の定期健診を受け、
心雑音が認められた場合には現在症状が見られなくても必ず治療を開始してあげてください。

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